いきなりですが、一眼動画撮影のレンズ交換はちょっと面倒臭いって感じたことはありませんか?
一眼カメラによる動画撮影は、レンズ交換できるのが魅力の一つでもある反面、野外での撮影や一刻を争うときのレンズ交換はやはり躊躇するものです。
急いでレンズ交換したものの、もうシャッターチャンスは過ぎ去っていた。とか、慌てて交換したせいでセンサーにゴミが混入した。など色々良くないことも想像できます。
もし一本の交換レンズで24mmから600mmぐらいまでの焦点距離をカバーできたら、それでいて描写性能が良かったら……レンズ交換が億劫な人にとっては間違いなく付けっ放しレンズになるでしょうね。
そんな交換レンズは残念ながらありませんが、ボディとレンズ一体型カメラなら結構あります。
SONY RX10M4(24-600mm)
Panasonic FZH1(24-480mm)
Canon G3X(24-600mm)
Nikon P1000(24-2000mm)
今回はこの中でも動画撮影に特化したレンズ一体型カメラ、パナソニックLUMIX DMC-FZH1のご紹介です。
FZH1は動画機としてかなり優秀なカメラです。ここから先は、FZH1の動画機としての良いところ&イマイチなところついて詳しくみていきましょう。
目次
▷LUMIX DMC-FZH1

まずはざっくりFZH1について。
LUMIX DMC-FZH1はパナソニックのフィールドズームと呼ばれるFZシリーズの最上位機種です。お値段は2020年1月現在、約13万円。
パッと見は一眼カメラと似ているけど、ボディとレンズが一体型であるこのようなカメラを一般にはネオ一眼カメラなどと呼びます。ソニーだとRX10シリーズがネオ一眼に該当しますね。

僕が愛用する一眼カメラ、LUMIX-DMC-G8にも結構似ています。ちょっとFZH1が太っているイメージですね。
マイクロフォーサーズのG8との違いは、レンズ一体型であることとセンサーサイズの違いです。FZH1はもう一回り小さな1型センサーを搭載しています。

動画撮影時の35mm判換算での焦点距離は、フルHD画質で広角25mmから望遠500mm、iAズームで1000mmまで。4K画質ではクロップされて広角36mmから望遠720mm、iAズームで1440mmまで。
iAズームとは、パナソニックの開発した超解像ズームのことで、これにより画質劣化を最小限に抑えてズームすることが可能になります。
以上の値から、ズーム倍率は光学で20倍、iAズームなら40倍ということになります。
F値は共通で広角端2.8から望遠端4.5。ライカ バリオ・エルマリートに準拠する明るさです。
▷FZH1 動画作例
そんなネオ一眼カメラ、LUMIX DMC-FZH1で撮影した映像をご覧ください。
▷FZH1の良いところ
ではFZH1の動画機としての良いところを見て行きましょう。
レンズ交換 不要
ネオ一眼カメラなので当たり前ですが、レンズ交換要らずで換算25mm(4K時は36mm)からiAズーム込みで1000mm(4K時は1440mm)まで狙えるのはありがたいことです。被写体の幅がグンと広がりますよね。


30分制限なし
連続撮影時間の制限がありません。コンサートやライブなどの撮影で長回しをする際に威力を発揮します。バッテリーとSDカード残量がある限り撮影が可能です。別売りのACアダプターDMW-AC10とDCカプラーDMW-DCC8を使用すればコンセントから電源を供給できるのでバッテリー残量を心配しなくて大丈夫です。
30分以上連続撮影ができるカメラを欧州に輸出する際は、ビデオカメラとして扱われ関税が高くなるそうです。そのため各社は、写真用カメラは30分以上連続して動画撮影ができない仕様にしています。税金対策ですね。なお、パナソニックのGHシリーズやDMC-G8も30分制限がありません。
NDフィルター内臓

ND4、16、64と3段階のNDフィルターが内蔵されています。オーバー露光でいちいちNDフィルターを取り付けなくても良いのでかなり便利です。ちなみに、競合となるRX10M3やM4には内蔵NDフィルターはありません。
ズーム動作が快適
ズームしても鏡胴の長さが変わらないインナーズーム構造なのでズーム動作が滑らか。ズーム動作で映像が微揺れすることがありません。また、ズーミング中でもAFがよく効き、AF性能も優秀です。超低速ズームも可能で撮影の幅が広がります。
シームレス絞り制御
ズームすると絞りが変化していくのですが、その変化がとてもスムーズです。フルHD画質の場合、広角25mmでF2.8からスタートして望遠500mmでF4.5まで0.1ずつ絞りが増えて行きます。その際、露出が不安定にならずにとても滑らかに絞りが変化します。
プロユース機能が満載
他にもプロ向け機能が満載です。以下にザッと列挙します。
シネマ4Kモードに対応(4096×2160)
All-Intraによる高ビットレート記録(FHD60p200Mbpsまで)
V-Log LによるLog撮影(有料オプション)
タイムコード出力(レックコントロール対応)
システム周波数切り替え可能(59.94Hz/50.00Hz/24.00Hz)
シンクロスキャン機能(蛍光灯下での撮影時、フリッカーを軽減)
詳細はメーカー公式ページにありますが、FZH1はGHシリーズの最上位機種であるDC-GH5とほぼ同等の動画撮影機能を備えており、コンシューマ向け動画機としては必要十分なスペックだと言えるでしょう。
上記以外にも紹介していない機能が多数メニューに組み込まれており、それらをいじっているだけでかなり楽しいです。
トータルで見ると安い
ここが大事。普通に考えて13万円という価格は決して安くはありません。でも、これまで見てきたようなプロユースの動画機能に加えてレンズ投資が不要となってくると、ますますオールインワンなカメラだなあと思えてきます。これ一台で完結!
一眼カメラだとそうはいきませんからね。ボディ、広角ズーム、標準ズーム、望遠ズーム、単焦点も欲しいなあ…どんどん機材費が膨れ上がって行きます。そうなると結果的にFZH1のオールインワンで13万円という価格が不思議と安く思えるんです。
▷FZH1のイマイチなところ
万能動画機FZH1といえども弱点はあります。イマイチなところも見て行きましょう。
iAズームでスローズームができない
iAズームの領域からは残念ながらスローズームが効きません。これができたらもっとポイント高いのに…おしいですね。
HDMI端子がタイプD
DC-GH5はテレビなどに使用されているタイプAのHDMI端子が搭載されていて話題になりましたが、FZH1はタイプDのmicro HDMI端子です。タイプAのようにがっちりとは刺さらないのでちょっと心許ないです。
防塵防滴仕様ではない
野外での撮影にも考慮して、できれば防塵防滴仕様にして欲しかった。
V-Log Lは有料オプション
FZH1はパナソニックの開発したログガンマV-Log Lで撮影することができますが、有料オプションになります。お値段は約9,000円。これだけ動画機として特化してるんだからそこは最初からデフォルトにして欲しかった。まあ買いましたけどね、別売りのアップグレードソフトウェアキーDMW-SFU1。
▷まとめ

いかがだったでしょうか。LUMIX DMC-FZH1、機能だけ見たらもうこれは高性能ビデオカメラであると言ってしまっても過言ではないですね。一眼カメラの形をしたビデオカメラ、といったところでしょうか。
これまでざっと見てきたように動画撮影機能は十二分でありながら、写真を撮りたい時だってもちろん活躍してくれますよ。
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